Belle のなかまたち (2)

SAINT JAMES

1889年創業、フランス北部、ノルマンディー地方の SAINT JAMES市において、街の名をそのまま冠してブランドが発足し、130年の歴史を刻んで現在に至ります。
北方海外線に面したこの土地は、古くからイギリスとの船での交易や漁業が盛んであり、SAINT JAMES の出発も船乗りたちに欠かせないマリンセーターをつくることからはじまっています。 現在でもブランドロゴには “Né de la mer (海から生まれた)” というフレーズが添えられ、マリンウェアのメーカーであることに誇りを持ち続けています。

荒波を渡る船上では、風除け、水除けのために、脱脂を控えたピュアウールでのニットが重宝します。また、視界の悪い時にも船員たちが見分けやすいよう、ブルーやトリコロールのボーダー柄を使ったり、船員たちが素早く着替えられるよう、シャツを前後の区別の無いデザインにしたり、今も残る数々のディテールが、実用着として使われた初期の時代に見ることができます。

20世紀に入ると、本来は実用着や制服だったボーダーシャツが、ファッショナブルなデイリーウェアとして見直されます。はじめに南仏のリゾート地でバカンスを楽しむセレブ層に大流行したそうです。
その後、リゾート地に限らず街着として広まっていき、40年くらい前に日本にも入ってきたということです。

有名なブランドではありますが、ファッションのブランドとしてはきわめて独特かもしれません。伝統的な実用着のための 『衣料メーカー』 として興り、軍用衣料の納入業者という側面を持ち、またその側面を維持しながら、ファッショナブルなブティックとしての直営店を展開しているという、ずいぶん懐の広いブランドなのです。
自らのルーツを大切にしながら歴史を重ねてきたことに、人々はどうしても敬意を払ってしまうのでしょう。SAINT JAMES そのものがお洒落でファッショナブルなのかどうかは、本当は分からないような気がしますが、いつも変わらないものが常にあるという安心感を感じさせてくれ、でもそれってすごいことなんだよな、と感覚的に分かってしまっているということだと思います。
白地に青いボーダーを着ていたら、『なんかフランスっぽい』 となるのは、やはりすごいことではないでしょうか。

そう気張った着こなしをするでなく、普通に動きやすい格好を、となった時になんてことなく着る SAINT JAMES が格好いいのは、ブランドが長年かけて築き上げた歴史やこだわりがあるからなのでしょう。『ブランドなんて気にしない、関係ない』 と口では言いながら、実は時と場合によって、しれっとブランドのパワーを信頼しきってしまうという矛盾。これもまたファッションであろうと思われます。

ことお洒落に関しては、整合性の奴隷になってはいけませんし、フランス的ファッション感覚においては特にそうのような気がします。笑。

 

 

SOUTIENCOL

読み方が難しいです、スティアンクゥル、あるいは日本語全開でスチャンコル。こちらは日本の、東京のブランドです。
デザイナー三浦俊彦氏によるアイビースタイルをルーツとするトータルブランドで、本来的にはしっかりしたメンズブランドです。近年はメンズシャツのレディースサイズの展開から端を発し、オリジナルなレディースアイテムも多数展開するようになっています。メンズらしいトラッド感覚を伴ったレディース服は SOUTIENCOL ならではで、自然と背筋が伸びるような、芯のある格好よさ、という感じが持ち味になっていると思っています。

メンズでも長い付き合いをしているのですが、まずとにかくシャツが素晴らしい、次にステンカラーコートがまったくもって素晴らしい、という認識でずっと変わっていません。女性の方々にも同様で、やはりシャツとステンカラーコートをまず見ていただきたいなと思っています。

基本的に、男性が着るような普通のシャツのスタイルというのは、女性にとっての一般的なスタイルに含まれていないように思えます。きちんとしたデザインの、きちんとした素材のシャツを普通に着る。おそらくそれだけで格好いいはずです。もちろんこれは、メンズと同様の格好よさではなく、女性ならでは格好よさであり、しかしながらセクシー路線やキャリアウーマン路線の格好よさとも明確に違う、まぎれもなくファッション的な格好よさであるはずです。

ベーシックでありながら、計算されつくしたデザインに、上質な生地。定番的なアイテムをつくりこみ、ちょっとのアクセントをつけ、上品で気の利いた素材を使うことで、一見シンプルに見えても、手にして着てみれば自然とテンションが上がります。奇抜な格好はできないけど、しっかりお洒落をしたいし、しっかりワクワクもしたい、という方々におすすめしていきたいブランドです。

 

 

gardens of paradise

SOUTIENCOL の別ラインとして展開されている、少しリラックスしたナチュラルスタイルのブランドです。サボテンのロゴがトレードマーク。
デイリーウェア、ホームウェアといった切り口で、シーズンレス、ユニセックス、エイジレスで、『心地好さ』 を一番のテーマにしてコレクションが展開されています。
SOUTIENCOL 同様、上質なファブリックが使用され、SOUTIENCOL にはないゆったり感やリラックスシルエットが見られることが特徴です。よりソフトな印象で、よりカジュアルなスタイルで取り入れていただけるような感じになっています。

イタリアの上質なリネン生地やインドのカディなど、素材そのものに心地好さを求め、ほとんどのプロダクトで、『生地が気持ちいい』 と感じられると思います。プルオーバーのシャツやラウンジコートのようなシャツコートなど、大人の余裕を感じさせてくれるようなアイテムが中心になっていて、上品なリラックス感が持ち味と言えるでしょうか。

僕が個人的に思っているのは、よく言われる 『ナチュラル系』 というカテゴリでくくられるブランドさんたちとは、やはりひと味違っているぞということ。やはりつくり手が SOUTIENCOL の三浦氏ということで、ナチュラルでも、リラックスでも、どこかに “凛としたもの” を感じさせてくれるのです。つまりは、まろやかさ、やわらかさの中にも、格好よさがひとかけら、どうしても入っているのです。この部分こそ、gardens of paradise の一番の魅力ではないかと思います。